ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「おうよ」とおじさんは豪快に笑う。


「ありがとう」


王女は笑った。

まるで花が咲くみたいな心からの笑顔。

この世の美しいものなんてこの笑顔の前にはきっと霞んでしまう。

そう思えるくらいに温かくて、優しくて、美しくて、愛しかった。


こんな笑顔を見たらきっとみんな王女を愛しく思ってしまうだろう。

あたしだってそう思うくらいなんだから。

美玲も、雅人も。

きっと、翔太も__。


翔太のことを考えたら胸がぎゅっと苦しくなった。

息が詰まりそうな苦しさだった。


「由良様?」


「どうかなさったのですか?」と姫は問う。

あたしは咄嗟に「いえ、何もないですよ」と笑って見せた。


貼り付けるみたいな笑顔。

心をだますみたいな、そんな笑顔。


最近はずっと、こんな調子だ。


いつから、あたしはこんな風にしか笑えなくなったんだっけ?



「おいしいですね、ガレット!」



あたしが笑ってそう言うと、「ええ、初めて食べました」と姫は心底嬉しそうな顔をする。

「あたしもですよ」と言うと、姫は驚いた顔をした。


「由良様も一緒に楽しめて良かったです」

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