ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
「うん、ごめんね」

「謝んな」

「だって翔太怒ってるじゃん」

「怒ってねえよ、別に」

「怒ってるよ、だって口がへの字になってるよ。っていつもだったか」

「ごめんごめん」と笑ってみせたら、翔太の額の血管が浮き出てきて翔太が身に纏う雰囲気が怖くなる。

「…お前はラトセーヌの泉に沈められたいのか?」

「え、ラトセーヌの泉は今は姫がお祈りをされてるから立ち入れないよ?」

「つっこむところがそこかよ、いやそういうことじゃねえだろうが、この天然馬鹿!」

「あー!馬鹿って言った!馬鹿じゃないもん!馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ、ばーか!」

「小学生かよ、お前は」

「小学生じゃないもん、大学も卒業してるもーん!」

「もーん、じゃねえよ、この阿呆!」

馬鹿な言い合いをしていると、なんだか面白くなってきて笑ってしまった。

あたしが笑ってるのを見て、翔太はようやく笑ってくれた。

ああ、見たかった笑顔だ。

あたしが嬉しくなっていると、翔太は「そうやって笑ってるの方がいい」と呟いた。

「無理してるより、そうやって阿呆みたいに笑ってるほうがずっといい。お前は阿呆なんだから」

「いや、阿呆じゃないもん!違うもん!さっきも言ったじゃん!」

「どうだかな」

こんなやりとりをしている時がいちばん楽しい。

怒った顔、楽しそうな顔、見下すような顔、馬鹿にするような顔。いろんな翔太の表情を見れるから。

翔太もそうだといいな。この時を楽しんでくれているといいな。


「あ?なんだよ」

翔太を見つめていたのがバレてしまい、翔太は眉間にシワを寄せた。


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