溺惑バレンタイン(『恋愛遺伝子欠乏症 特効薬は御曹司!?』番外編)
 航がいたずらっぽく言った。亜莉沙は赤くなった顔を上げ、その彼女の顎をつまんで航が言う。

「一緒にチョコレートを食べるのと、一緒にバラ風呂に入るのと、どっちが先がいい?」
「んー、どっちもステキで迷っちゃうな……」

 それ以上迷う間もなく、亜莉沙の唇は航のキスでふさがれた。航が亜莉沙のコートを床に落とし、指先でゆっくりとワンピースの背中をなぞり上げ、ファスナーを下ろし始める。

 航の手のひらが、亜莉沙の熱を帯びた肌に触れた。彼の想いを感じ取って、背筋にピリッと刺激が走る。

「やっぱり先に……」

 亜莉沙が熱い吐息混じりの声で言うと、航が唇を離した。

「ん?」
「チョコレートを食べたいって言ったら……どうするの?」

 航が小さく笑って、亜莉沙のあらわになった肩に熱く口づけながら言う。

「俺は裸で食べるのでも構わないよ」
「やっぱり……お風呂が先」

 航は着ていたものを脱ぎ捨てると、恥ずかしそうに染まった亜莉沙の頬を両手で包み、その目を覗き込む。

「お姫様の願いなら何だって叶えてやるよ」
「じゃ、ずっと一緒にいてくれる?」
「当たり前だろ」
「嫌いにならないでね」
「なるわけないだろ。溺れるくらい愛してるんだから」
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