最後の恋愛Ⅱ
「帰れよ。」

大麦は、はき捨てるように言うと、私の体をぐいっと自分に引き寄せた。

「俺、こいつとイチャイチャするのに忙しいの。」

「だっ、誰が誰とイチャイチャするって?」

大麦の手は私の腰にしっかりと巻きついている。

それが決して、嫌ではない自分の本能を律しつつ、大麦を見上げて怒鳴った。

「俺と大和が。大和もその気だったろ?」

ん?っと続けて微笑む。

うっ―

そう、言われると困る。

困ってしまう。

確かに、さっきの私は、理性を失いかけていた。

大麦が・・・本気の顔するから―

「そっ、そんなことないし!」

そう言って、顔を伏せる。

「またまたぁ、ほんっと素直じゃないんだから。」

大麦はくすっと笑って、私の頭上にキスを落とした。

「ちょっと!まだ、付き合ってないんだよね?」

と、ごく近くで如月さんの声がして、私は弾かれるように顔を上げた。

超、目の前に如月さんの顔があって、思わず身じろぐ。

けど、大麦の腕の中だし、思うように身じろげず、如月さんは強面で続けて言った。

「私、言ったよね?認めないって。」

そう―だったねぇ

覚えてる。

覚えてるとも。

あのままで終わらすとも思ってなかったしね。

ただ、まさかここまで後をつけてくるとは、そこは予想外だったよ。
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