最後の恋愛Ⅱ
「ああ、最近は愚痴ばっかだけどな。」

「早く別れりゃ良いんだよ。」

「立候補しないのか?」

俺は黙って少し離れたBOX席からあの女の横顔を見つめた。

そりゃ・・・

ちょっとは、可愛いと思う気持ちはある。

けど、何で俺が?

って思うのも事実。

「ムギはあいつのこと好きなんじゃないの?」

「はぁ?」

俺は真顔で返してマスターを見遣る。

「だって、ここに来たらいっつもあいつの話してるじゃん。」

・・・

そういえばそうだな、と思った。

それは、仕事場のあいつとここで見るあいつがあんまりにも違うから―

だから、であって・・・

別に好きとかそういうんじゃ―

「俺のタイプじゃねぇよ。」

「だよな、俺の知ってる中じゃ、ああいう女、お前連れてたことないもんな。」

だろ?

俺はもっとボンキュッボンで後腐れなく付き合える女で良いんだよ。

そういうのが一番面倒じゃないんだ。

「大和は良い奴なんだけど、男運が悪いんだよなぁ。」

・・・

俺は小さく頷いた。
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