お見合いに来ないフィアンセ
「今夜もかよ」と舘岩がぼそっとぼやいた。

「眠いんだよ、バカ」
「ああ? 寝ずに? やだぁ、駿人、エロい」
「エロいのはお前のオツムだろ。美月ちゃんとは何もない。だから眠いんだ」
「マジか。やれなくての寝不足かよ。さいあく」

「最悪なのは、お前の行為だ。パンツみやがって」
「あ? あれ? 根に持ってる?」
「当たり前だ」

 僕は、 舘岩の足を思い切り踏んでやる。

「いっ……容赦ねえなあ」
「見たお前が悪い」
「お前は見れてないのにな」

 舘岩がケラケラ笑う姿に、ムッとして僕はさらに踏んでいる足に力を込めた。

「遅れてすみませえん」
 遠くから相馬のよそ行きの声がした。

 あいつ……化粧してない?
 髪もぼさぼさ。

 家に帰ったわけ、ではないのか。
 ならどこに行ってたんだ?

「体調大丈夫なの? なんだか顔色も悪いみたい」と顧問の先生に相馬が言われる。

 顔色が悪く見えるのは化粧してないからだろ。
 体調が悪いって理由で、遅刻?
 おかしいだろ。

「化粧一つで病人になりきれるって女って怖いこわい」と片桐コーチが身震いをしていた。

 ほんとに。
 化粧で化けられるあいつは、面倒くさい女だよ。
 騙されるまわりもどうかしている。

 だからつけあがるんだ。

―駿人side-

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