ワンダーランドと春の雪
二人がまた戦闘を始めようとした
そのときだった。
「たっだいまー……って、うわー何この
死体の山ー」
広間の中に突如、聞き覚えの無いのんびりとした男の人の声が響いた。
声がした方向を見ると、リックくんが最初に
現れた柱にもたれかかる男の人の姿があった。
その人を見た時、
何故か全身に鳥肌が立った。
嫌な予感がする。
その嫌な予感が当たったのか、
ジュリーちゃんはその男の人から視線を向けたまま私の名前を呼んだ。
「早くあたしより後ろに下がって! 」
ジュリーちゃんだけじゃなくて、ジョニーも
リッキーも他の三人も、驚愕した表情でその人のことを見ていたのだった。
「怖がらなくていいよー。ぼくは怪しい者じゃないからねー」
その人は一見笑っているように見えるが、
私は今まで生きてきてこんなにも感情の込もっていない、無機質で、貼り付けたような笑顔を見るのは初めてだった。
それは見ていて不安になるもので、同時に
この人に話は通用しないと確信してしまうような威圧感があった。
目の前に、引きつった笑みを浮かべるジュリーちゃんの横顔が見えた。
「まずいことになったわね」
「まずいって……? 」
心の中ではもう何となく分かってはいたが、
一応確認のために聞いてみる。
「あいつが、この城の主で“七大罪”の一人。
マーモンよ……! 」