届屋ぎんかの怪異譚




「たぶん社に住み着いた妖怪が、婆さん恋しさに暴れてるだけだと思うんだよねー。

でも、退治しろって言われたわけでもないし、俺は退治するしか能がないじゃん。

だから銀花に助けてもらおうと思ってね」



そう言って猫目がにっと笑うと。



「丸投げ」と、今様。


「人任せ」と、二藍。


風伯は思わず吹き出した。



「じゃあ、あたしはそのお社の妖におばあさんの言葉を伝えて、人が消える原因がその妖にあるのなら、やめてくれるように説得すればいいのね」



銀花が言うと、「そういうこと」と、猫目が頷く。



「まぁ、護衛は任せてよ。その社の妖がどれくらい危険なものかはわからないけど、危なくなったら俺が守るから」



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