擬装カップル~私は身代わり彼女~
「ねぇ、それ貸して」

樹くんが私のリボンタイを指差す。

「リボンタイ?何で?」

「僕、絶対ネクタイよりリボンの方が似合うんだよね」

私は言われる通りリボンを外し樹くんに渡す。
樹くんは自分のネクタイを外すと私に渡す。

樹くんのネクタイが私の手の上にある。

ドキドキしながら樹くんのネクタイを握りしめる。

「ほら、やっぱりリボンの方が似合うでしょ?」

樹くんが私のリボンタイを結んで、鞄から取り出した自分の鏡でチェックする。

本当だ!やっぱり凄い似合う!

「樹くん、リボン似合う!」

「うん。やっぱりこっちの方がいいね。
これ頂戴」

自分の首に巻いた、私のリボンタイを指差す。

「うん。いいよ」

「代わりに、それあげる」

私の手の上にある、樹くんのネクタイを見る。

「えっ!?いいの?」

「いいよ。それいらないし」

「でも、交換したのすぐ周りにバレちゃうよ?」

だって、樹くんが女の子のリボンタイをして、私が男の子のネクタイしてたら、二人で交換したってすぐバレちゃう。

「いいんじゃない?バレたって。
だって君は僕の彼女なんでしょ?」

「…うん…」

「前から、リボンタイ欲しかったんだよねー♪」

嬉しくて、樹くんのネクタイをしようとするけど、上手く行かない。

「君は本当に不器用なんだね」

樹くんは、ちょっと飽きれ気味に言うと、
私に手際良くクタイを巻いてくれた。

「ありがとう。毎日巻いてね」

「調子に乗るな!」

嬉しくて、私も鏡にネクタイ姿の自分を写し、鏡の中自分に微笑んだ。
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