擬装カップル~私は身代わり彼女~
初恋はお弁当の味

「はぁー!?樹くんと付き合ってる!?」

教室の後ろの席に座る、親友の酉島真白(とりしまましろ)に耳打ちしたら、
めちゃくちゃびっくりして、大声で叫んだ。

まさか脅して美鈴先生の身代わりで彼女になったとは言えないから、告白してokして貰ったって話にしておいた。

「バカ!真白ってば声が大きい!」

「ごめん!!だってさぁー!樹くんって、
あの渡瀬樹だよね??」

真白の反応は無理もない。

樹くんはとにかく目立つ。

髪型は金髪に黒が斑に入っていて、ボブくらいの長さ、
首にはVivienne Westwoodの大きなオーブのペンダント、
指輪もピアスも全部Vivienne Westwoodで揃えてる。
その派手なアクセサリーに負けない、
どことなく日本人らしくない端正な顔立ちに、切れ長で涼しげな、どこか人に興味を示さない瞳。
それに、シルバーグレーのカラコンをしている。
身長は178cmで体重は50kgの超細身。
それにね!頭も凄く良いの!
中学までは都内屈指の進学校に通ってたけど、校則の厳しさに嫌気がさして、この高校にしたらしい。
成績も常にトップクラスだから、この派手な格好でも、多目にみてるんだよね。

こんな樹くんだから、ファンもめちゃくちゃ多い。

なのに、こんな「普通」を絵に描いた様な私が彼女だなんて、真白がびっくりするのも当然。

「ねぇ、で、で、いつから付き合ってるの?」

真白が興味津々って顔で聞いて来る。

「まだ3日とかだよ」

「そうなんだ。
じゃあ樹くんも風香の事を好きだったって事?」

「うーん、今のところ彼女もいないから、
お試しって感じかな?」

「お試し!?
まぁ、でも、お試しでも樹くんが彼女作ったなんて話し初めて聞いた。風香やったね」

「うん。今日はお弁当持って行くんだー♪」

「凄い!風香頑張ったね。喜んでくれると良いね」

「うん!」

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