新婚の定義──嘘つきな君と僕──
翌日。

音楽雑誌の撮影のためにレナは`ALISON´のメンバーとケイトと共にスタジオにいた。

傍らには、ケイトの記事を担当している水野が控えている。

「高梨先輩、今日もよろしくお願いします。」

「あっ、水野くん。こちらこそよろしく。」

「この間の写真、社内でも評判でした。」

「良かった。急な仕事だったから、ちょっと心配してたの。」

「さすがは高梨先輩ですね。」

「ありがとう。」


親しげに話すレナと水野を見て、ユウは言葉を失う。

(アイツは…水野って、あの水野?!なんでこんな所にいるんだ?)

レナから何も聞かされていないユウは、水野の姿に驚きを隠せない。

そんなユウに、水野の方から近付いてきた。

「片桐先輩、お久し振りです。僕、今は音楽雑誌の編集部にいるんです。ケイトの担当をしてるんですよ。この間、急病で来られなくなったカメラマンの代わりに、高梨先輩に来ていただいて。本当に助かりました。今日はこの後、インタビューもありますので、よろしくお願いします。」

「そっか…そうなんだ…。よろしく…。」

(レナ、何も言ってなかったぞ?)

レナの方をチラッと見ると、レナは黙々と撮影の準備をしている。

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