新婚の定義──嘘つきな君と僕──
リビングでタクミの向かいに座ると、ユウは低く呟く。

「なんでレナと一緒にいた?」

「なんで、って…それは言う必要あるの?」

「あるだろ。レナはオレの妻なんだから。」

「ふーん…。夫は他の子と何してても、妻に言わなくていいのに?」

「……今はそんな話してないだろ。」

「そう?ユウもケイトと二人で飲みに行ったりしてんじゃん。一緒だろ。」

ユウはタクミの言葉に、唇をかみしめた。

「ケイトとは、何もない。」

「そう。でもそんなのどうでもいいや。」

「どういう意味だ?」

「オレはあーちゃんに、ちゃんと言ったよ?ユウより幸せにしてあげるから、オレのお嫁さんになりなよ、って。ユウ、そろそろ身を引いてくれないかな。」

「オマエ…!!」

ユウはタクミの胸ぐらを掴む。

「殴るの?いいよ。それで彼女をオレにくれるなら安いもんだよ。オレはあーちゃんの戸籍に×がついてようが、過去にユウにどれだけ抱かれてようが、全然気にしない。だから安心して別れていいよ。オレが幸せにするから。」

ユウは払い落とすように、タクミから手を離した。

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