新婚の定義──嘘つきな君と僕──
打ち合わせを終えたレナは、スーパーで食料品の買い物を済ませて帰宅した。

冷蔵庫にさっき買った食材をしまいながら、キレイに洗って水切りかごに置かれた食器に目を留める。

仕事で忙しいレナを少しでも煩わせないようにと、ユウはいつも、朝食を食べた後に自分の使った食器を洗ってから出掛ける。

(いい旦那様…。)

レナは、当たり前のようにそうしてくれるユウのちょっとした気遣いが嬉しいと思う。

(今日はユウの好きな物、たくさん作ろう。)

昨日の気まずさを少しでも消してしまおうと、レナはキッチンに立って、ハンバーグや野菜たっぷりのトマトのスープ、ポテトサラダを作った。

どれもユウの好きな物ばかりだ。

(ユウ、喜んでくれるかな?)



レナが夕飯の用意を終えた頃、レナのスマホにユウからのメールが届いた。


“今日はメンバーと飲みに行くことになった。
遅くなるから先に寝てて。”


レナはメールを見て、ガックリ肩を落とす。

(なんだ…。晩御飯、いらないんだ…。)


“わかりました。
あまり飲みすぎないで、
気を付けて帰って来てね。”


メールを返信すると、レナは一人分の夕飯をテーブルに並べ、一人で食べ始めた。
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