新婚の定義──嘘つきな君と僕──
(一人だと、あんまりおいしくないな…。)

料理の味に問題はないはずなのに、一人で食べる夕飯は味気ない。

モソモソと口を動かしながら、レナはぼんやりと考える。

(ユウがいないだけで、夕飯の味まで変わっちゃうんだな…。)

食欲がなくなって、レナは残した夕飯にラップをかけ、冷蔵庫にしまいこんだ。

ユウの分の夕飯にもラップをかけて、同じように冷蔵庫にしまいこむ。

(ユウ忙しいし、これからもっと、こういうことは増えるんだろうな…。)

寂しいとは思うけれど、それは仕方がないとも思う。

ユウのような仕事は、多少忙しくなくては成り立たないだろうし、仲間との付き合いも大事だと思う。

(お風呂に入って寝よう…。)


入浴を済ませていつものように缶ビールを取り出し、ソファーに座って飲んでみたものの、やはり一人では味気ない。

レナはソファーに寝そべって天井を見上げる。

住み慣れたはずの部屋なのに、ユウがいないとやけに広くて静かだ。

(ユウ、早く帰って来ないかな…。)

レナはぼんやりとユウのことを考えながら、眠りの淵に落ちていった。



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