新婚の定義──嘘つきな君と僕──
テーマパークを出て温泉旅館にチェックインすると、通された客室でゆっくりお茶を飲む。

「すごく楽しかったね。」

「うん、思ってた以上に楽しかった。」

ほどなくして仲居がやって来ると、手際よく夕食が並べられた。

「どうぞごゆっくり。」

仲居が部屋を後にすると、二人はテーブルに所せましと並べられた豪華な食事に目を輝かせる。

「すごい豪華…。こんなに食べられるかな?」

「うまそう。さ、食べよ。」

二人はグラスにビールを注いで乾杯すると、新鮮な刺身や色鮮やかな料理に舌鼓を打つ。

「おいしいね。」

「うん、うまい。」

「考えてみたら、二人で旅行なんて初めてだね。」

「そうだなぁ…。去年は何かと慌ただしかったもんな。」

「ユウとの旅行は、高校の修学旅行以来。」

「ホントだ。沖縄、楽しかったな。」

「また行きたいね。」

「ゆっくり時間ができたらさ、また行こうよ。オレたち…夫婦、なんだし。」

「うん…夫婦、だもんね。」

二人は、夫婦と言う言葉に、少し照れ臭そうに微笑んだ。
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