新婚の定義──嘘つきな君と僕──
レナのことが気になりながらも、ユウはケイトとハヤテ、リュウ、トモと一緒にバーにやって来た。


飲み物と料理をオーダーすると、久し振りの再会に、グラスを合わせて乾杯した。

「ソロ活動、うまくいってんだな。」

トモがタバコに火をつけながらケイトに尋ねる。

「昔とは比べ物にならないくらいね。」

「バンド時代か?」

「そう。思いきってソロになって良かった。自分のやりたい音楽ができて、それがたくさんの人から評価された。こんな嬉しいことない。」

「なら良かったじゃん。」

5人は、ユウたちがロンドンを離れてからの1年間の、お互いの音楽活動の話をしながら、お酒を飲み、食事を楽しんだ。

「今度、私とみんなで、コラボしない?」

「コラボ?」

「うん。絶対楽しいよね。」

「日本語で?」

「日本語でも英語でも。両方でもいいよ。」

「まぁ、まずは事務所に相談だな。」

「みんなさえ良ければ、うちの方から事務所に話つけるけど。」

「タクミにも聞いてみないと。」

「あぁ、そうだったわね。それにしても、タクミってあんなだった?」

「あんな?」

「やけに素っ気なかったけど?前はもっとニコニコ愛想振り撒いて人懐っこかったでしょ。」

「そうだなぁ…。それは今もそうだけど。」

ユウはタバコに火をつけ、いつもと違うタクミの様子を思い返す。

(機嫌は…悪くなかったよな?)

タクミがレナと一緒に途中まで帰ると言って楽屋を出たことを思い出すと、ユウは一瞬顔をしかめた。

(まさか…タクミのやつ、レナになんにもしてねぇだろうな?)

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