新婚の定義──嘘つきな君と僕──
レナは帰宅して入浴を済ませると、ビールを飲みながら、自分の部屋で仕事を始めた。

ノートパソコンに向かい、必要な写真のデータを探しながらも、ユウとケイトが抱き合って再会を喜ぶ姿が脳裏に焼き付いて離れない。

レナはモヤモヤした気持ちをなんとか抑えながら、黙々と仕事をこなした。


翌朝必要なデータをすべて、新しいファイルに保存し終わると、レナはノートパソコンを閉じてため息をついた。

(はぁ…終わった…。)

時計を見ると、もう日付はとっくに変わって、間もなく1時になろうとしている。

(ユウ、まだ帰ってこない…。)


ユウが女の子とあんなに親しげに話す姿は初めて見た。

子供の頃からの親友のマユのことでさえ、いまだに旧姓で“佐伯”と呼んで、友達同士のスキンシップでも、体に触れたりしたところを見たことがない。


(私が知らないところで…いろんな女の子との付き合いがあったんだろうな…。)

レナは少し沈む気持ちでビールを飲み干した。
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