新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「日本に戻ってしばらくしてから、偶然再会したんだ。それからまぁ…いろいろあって。」

「いろいろって何?」

「付き合い始めたりとか…いろいろ。」

ユウの大雑把な説明に、ケイトは不満そうにしている。

「もういいだろ、ケイト。」

トモがタバコを灰皿の上で揉み消しながら、半ば呆れ気味にケイトをたしなめた。

「今のユウには大事な嫁さんがいる。それが現実だし、ロンドンにいた頃のユウとは違うってことだ。オマエもガキじゃねぇんだから、その辺わかってやれ。」

ケイトは不服そうに頬を膨らませる。

「だって、せっかく会えたのに…。」

「だってじゃねぇぞ、ケイト。オマエらが仲良くしてたのはオレらも知ってるけどな、間違ってもユウたちの邪魔なんかすんなよ。」

リュウもケイトに釘をさす。

「ユウたちはお互いを想い合って結婚してるんだし。幸せな二人の邪魔しちゃいけないよ、ケイト。」

最年長のハヤテが、お兄さんのように優しくケイトをたしなめると、ケイトはまだ少し膨れっ面のまま、ため息をついた。

「みんなにそんなふうに言われたら、私が悪者みたいじゃない…。」


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