新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「めちゃくちゃおもしれぇこと思い付いた…。オレってやっぱ、天才だな…。」

ヒロが唇の右端を上げながらニヤリと笑う。

(めちゃくちゃ怖いんですけど!!ヒロさん、一体何するつもりだ?!)

「タクミ、ちょっと来い…。」

ヒロはタクミをそばに呼び、他の誰にも聞こえないような小さな声で、タクミに耳打ちしている。

それを聞きながら、タクミも次第にニヤニヤし始め、しまいにはヒロとそっくりの悪そうな顔でニヤリと笑う。

(親子…じゃないよな?一緒にいると、いろいろ似てくる…?)

「面白いっすね、やりましょう!!」

「だろ?オマエならそう言ってくれると思ったんだよ。頼んだぞ、オレのかわいい息子。」

「任せて下さい、オヤジ!!」

「だからオヤジはねぇって!!」

「それじゃあダディ!!それともパパがいいですか?古風に父上とか?素直に父ちゃんとか?」

「…もう好きにしろ…。」

あのヒロをやり込めてしまうタクミに恐ろしさを感じながら、ユウは二人の内緒話が気になっていた。

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