新婚の定義──嘘つきな君と僕──
何度も愛し合った後、涙を浮かべながら眠ったレナの髪を撫でながら、ユウは、今夜のレナの様子がいつもと違ったと思っていた。

ユウからレナを何度も求めることはあっても、レナがこんなにユウを求めたことは、今までなかった。

(そんなに寂しかったのかな…。)

子供のようにすやすやと寝息をたてるレナの寝顔を見つめ、ユウはレナの涙の跡に口付ける。

(オレがまたどこかに行ってしまうんじゃないかって…不安だったから…?)

“ユウがここにいてくれたらそれだけでいい”と、不安そうに呟くレナの顔を思い出すと、ユウは胸が張り裂けそうになる。

(もう、レナにそんな顔させたくない…。)

ユウは胸の痛みをかき消すように、レナを抱きしめながら眠りについた。


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