自惚れ男子の取説書【完】
そう言って解錠ボタンを押すのを見えるか否か。ワンピースを掴むと、慌てて寝室へと駆け込んだ。
「なぁ…おい」
「着替え中です!!」
ほとんど叫ぶようにして答えると、震える手を必死に抑えてファスナーをあげる。ホックがうまくはまらず、焦れば焦る程空回りしてぐっと胸に込み上げてくる。
ようやく着替え終え借りた服を簡単に畳むと、意識して唇をぎゅっと結ぶ。溢れる物を堪えるよう一度目を瞑ると、そのままの勢いで扉を開けた。
「おい、今から「わかってます!!」」
ずんずんっと下を向いたまま近寄ると、その手に服をのせる。胸が詰まるのが溢れてしまわないよう、更にぐっと唇を噛んだ。