自惚れ男子の取説書【完】
”ガッツある”と言うと良い響きだけど、ぐいぐい来る所は正直苦手だ。
なんて考えてるそばから、私の後ろからパソコンを覗く先生。
自分のパソコン開けば良いのに…妙に近い距離に、ぐっと椅子ごと距離をあける。
「そんな逃げなくてもさぁ…辻さん」
「はい?何ですか先生」
名波先生は見た目、ザ・スポーツマンだ。
体躯がよく髪を短く刈り上げ、おまけに学生時代はラグビー部。休日はサーフィン。絵に描いたようなスポーツマンのくせ、爽やかというより軟派な雰囲気がどうにもめんどくさい。
仕事はできるし、患者さんや他のスタッフからは評判良いんだけど、ね。
「へぇ、すげ。よく松山さん起こしたね。断固拒否するかと思ったわ」
「ふふっ、それ私も思ってました…松山さんには悪いですけど」