自惚れ男子の取説書【完】

先生の言葉にきょとんとする。けど、すぐにその意味がわかって自然と顔がほころんだ。

ほんっと…美沙ってば。


「ふふっ。先生、羨ましいでしょう?」

「……すんごく、ね」

思わず顔を見合せ、くくっと笑いがこぼれる。

数日前までは、まさか名波先生とこんな風に笑う日が来るなんて思ってもみなかった。チャラいし、距離感近いし。でも仕事はちゃんとするし、こうして律儀に頼まれた事やってあげちゃって。


美沙と名波先生…か。

意外なカップルが何だかしっくりくるから不思議。勝手な妄想にニヤニヤしながら、自動ドアをくぐった。

< 190 / 362 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop