自惚れ男子の取説書【完】
「あ!いたいた、沖田さん。探しましたよ」
ため息混じりに小走りで近づいてきたのは、どうやら沖田さん…由美さんの病棟の看護師のようだ。
「よかった。先生探してましたよ?病棟戻りましょ」
「えぇごめんなさい、すぐ行きます」
由美さんは返事をしながら、微動だにしない私の顔色を不安げに伺う。
一方美月さんは看護師の登場に臆することなく、変わらず真っ直ぐな瞳で私を見つめていた。
「余計なお節介…ですよね。ただ、大和だけじゃなくてあなたの為にもなると思うの…考えてみて下さい」
他の二人には聞こえないよう小声で話すと、優しく肩に手をそえられる。
血の気と共に熱をどこかへ忘れた私には、美月さんのその手だけがひどく温かく感じた。