自惚れ男子の取説書【完】
深くため息をついた美沙は、やれやれ…と首をふる。
「あのね、なんで琴美がそんなびくつかなきゃなんないのよ。あんた悪い事なんてしてないでしょ?」
「そ、そりゃあ…まぁ。でも結果的に私はお邪魔虫だったわけじゃない」
「あぁん?それは、あの男がはっきり言わなかったのが悪いの!世間じゃそれを”騙された”って言うんだからね」
「えっ!うそ!そりゃ強引で自己中な人じゃあるけど、小田さん私を騙す程には不自由してないって」
「えっ…小田さんって、小田さん!?」
静かに会話を見守っていたりっちゃんが急に小さく叫んだ。
そういえばそうだ。りっちゃんは小田さんとの事の顛末を何も知らないんだった。
勢いのままに言い合っていたのにブレーキをかけ、美沙はばつが悪そうに肩をすくめた。