自惚れ男子の取説書【完】

「ごめん律子。ちゃんと順番に話すわ…琴美が」

「えっ、私!?」

瞬時に拒否の態勢をとる私に、美沙は遠慮なく睨みをきかせる。

「だっ…だって今さらそんな…」

「誰の話だと思ってんのよ!今日だって…その為に律子来てもらったんだからね!」

「ふふっ、なーんだ。美沙がやけに強引だと思ったら琴美ちゃんの為だったんだね」


私の…為?

美沙へ視線を送るけど、それに関してはノーコメントのようだ。

強気の口調と鋭い視線とは矛盾した、美沙の優しい眼差し。くいっと顎だけで先を促されると、それすら肩を押してくれてるみたいでほっとする。

二人の温かい眼差しに安心して思わず息を吐くと、私は小田さんとの酸っぱく終わった一部始終を告白することにした。
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