自惚れ男子の取説書【完】
「うん…うん……わかった。あぁ代わる代わる、ちょっと待って」
ほいっとりっちゃんに携帯電話を渡すや否や
『律子?律子!』
「うん?なぁに石川くん」
スピーカーが音割れしそうな勢いで、再び石川くんは叫び始めた。
『今日の約束覚えてるよな?6時だからね、待ち合わせ』
「ふふっ、大丈夫だよ。ちゃんと覚えてる。また連絡するね?」
『分かった!気をつけてな!』
はーい…と言いつつなかなか電話を切らせて貰えないりっちゃんは、苦笑しつつもどこか嬉しそうで。
ふにゃりと緩んだ笑みを浮かべ「また後でね」と言うと、ようやく電話を切らせてもらえた。