自惚れ男子の取説書【完】

「石川くんすごい勢いだったね…」

少したじろぐ私をよそに、二人は慣れっこのようで少し苦笑しているだけだ。


「それで、石川くん何て言ってたの?」

ちらっと私の顔色を伺うと、頬杖をつき唇を尖らせ不服そうな態度で美沙は報告し始めた。


「うーん、やっぱり隣の部署だからかはっきりは知らないみたい。でも『あの小田さんが結婚なんて事になったらすぐ社内中の噂になりますよ!』…だって。まぁ確かに狙ってる女はいっぱいいそうよね」

「そっ……かぁ。うん」

妙に緊張していたものの、結局よく分からず…という曖昧な結果に気が抜ける。

「琴美ちゃんの勘違い、なんて事は…やっぱり無いの?さすがに来月結婚式なら、会社に報告してないわけないし」

「……うん」
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