自惚れ男子の取説書【完】

そんな私の考えを知るよしもなく、小田さんは引き出物特有の大きな紙袋をドサッとおろすと礼服を脱ぎにかかっていた。


今日、美月さんは結婚式を迎えた。

「披露宴、いや二次会でもいいから是非!」
とまで言われたものの、有休なんてそうそう取れず。ましてや親戚大集合の結婚式なんて身がもたない。
そこは丁重にお断りして、事前に小田さんにお祝いを言付けておいた。

私が勝手に勘違いして、美月さんにも迷惑かけちゃったし…。

合わせる顔が無いと言う私をよそに、美月さんも由美さんも私達の付き合いを喜んでくれているらしい。


「あいつら絶対これ食べさせろって。まじしつこい」

ため息混じりに小田さんが取り出したのは引菓子の箱。私でも知ってる有名洋菓子店のものだ。

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