自惚れ男子の取説書【完】
礼服からいつものスウェットへと着替えながら、ぼんやりと今日の式を振り替える。
事前の打ち合わせや挨拶回りもあり、式の2時間前には会場入りした。
面倒くさい…というのが本音だが、かと言ってそれくらいもまともに出来ないと思われるのは癪だ。やるからには完璧に、が信条なのだから。
「おい、ここで一礼だろ。しっかり止まれ」
「え、そうだっけ?ってか、大和歩くの速すぎ」
「あ?お前の脚が短いんだろ」
言い終わるか否か、高いヒールでぐっと革靴を踏みつけるとんでもない姉。よく結婚出来たな…と思わず感心する。自分の結婚式なんだからバージンロード歩くの位しっかりやれよ、と思うんだが。
美月とあの人はどうにも楽観的過ぎる。完璧主義の俺からしてみると苛つく事が多々。
父親が亡くなった後もそうだ。
離婚した後も情はあるのだろう。葬儀の後落ちに落ちた母親。じゃあ何で離婚なんてしたんだ、と詰め寄っても「大人の事情よ」と軽くかわされるだけだった。
心労がたたったのか、元々弱かった心臓の状態が悪化し入退院を繰り返す日々。それがどうにか落ち着いた頃だった。