自惚れ男子の取説書【完】


「それより仕事じゃ…「大和っ!!」」


小田さんの後方、背の高い彼に見え隠れしながら小柄な女性が走ってきた。

遠目から見ても分かるぱっちり二重に、ふっくらとした唇。化粧っけの無い様子に、つくりものじゃない持って生まれた可愛らしさだとわかる。少しボーイッシュなショートヘアも、彼女によく似合っていた。


「ちょっと待ってよ大和」

焦るような女性の声に、小田さんの顔から表情が消えた。冷たい眼差しはもう私を見てなくて、どこかぼんやりと視線を漂わせている。


「ちゃんと顔出し「…うるさい」」

「美月、お前がうるさいからここまで来たんだ。十分だろ」


振り返りもせず、小田さんはそう言い放った。

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