バレンタインの奇跡【短編】
……



……



何か手を出してくる。



「何?」


「あれ?くれないの?」


「はっ?何を?」


「今日はバレンタインだろ。


チョコくれよ」



「あんたの分なんて用意してない」



本命チョコを作るだけで、精一杯なのだ。

昨日深夜2時まで必死にガトーショコラを焼いていたのだ。


料理が苦手な私なりに母親に教えてもらいながら頑張ったのだ。


その頑張り褒めてくれるなら褒めてもらいたい。


そんなことを考えながらポケットを探った。


四角い小さな物体。


これは昨日知恵ちゃんからもらったチロルチョコだ。
< 4 / 19 >

この作品をシェア

pagetop