もう一つのダイヤモンド
そっと目線を下げると保証人の欄にも同じような記載項目がある。

隼人さんが保証人になってくれると言っていたし、案内していた不動産の人にも確認していたけど。

こんなとこで、年収暴露なのか…。

結婚とか一緒に住むとか、そういう現実に向かい合うようになったら、妙に生々しいことになってきた。

とりあえず、書き終わってしまった。

それに気づいて隼人さんに確認される。

「保証人、俺でいいよな?」

「はい、お願いします。」

隼人さんはためらうことなく書類を書いていく。いつも、指示書なので目にする男の人らしい角張った字。
どうしても年収の欄に目がいってしまうのは止められない。そして、書かれた年収は、私の倍以上。もうすぐ一桁ちがう。分かっていたけど、医者ってすごい。もちろん、相当の仕事量と責任があるのは分かる。

家賃、ちょっと払ってもらえばよかったなんて、都合のいいことを思ってしまったのは、内緒。こんなことを思えたのは、さっきの重たい雰囲気がなくなっているからこそだ。



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