終わらないMelody【短編】
「ズルイっスよ、先輩……」

新はゆっくりと瞳を伏せた。

その表情は、余りにも色っぽくて、あたしの心臓はドクッと脈打った。


「俺の気持ち、気付いてないんスね…」

新がボソッと呟いたのを、あたしはうっかり聞き逃してしまい、もう一度、新に尋ねようとした。

でも、あたしはそれが出来なかった。

新の澄んだ瞳に見据えられたからだ。

瞳を逸らさず、だんまりしているあたしに、新はニッコリ微笑むと、自分の右手の人差し指を、あたしの唇に添えた。

あたしがビクッと肩を震わせたのを見てクスクスと笑う。


「先輩のその声、大好きです」

突然言うもんだから、あたしは拍子抜けしたような顔になった。

新はそんなあたしに気がついて、言葉を続けた。

「俺、時々聞いてるんスよね…先輩がここで、歌ってるの。スッゲー綺麗な声だな…って思って」


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