空と君との間には
沢山が「あっ」と声を漏らす。


「『空を詠む』の冴子が煙草を吸う仕草、俺すごく好きなんです」

結城は言いながら、小説のヒロイン冴子がライターで煙草に火を点け、煙草を吸う仕草をジェスチャーで真似る。


「そう、冴子はそういう仕草で煙草を吸うの」

沢山が喜びに、胸の前で手を叩く。


「それから……」

結城は沢山の連載に登場するヒロイン「冴子」と、その彼「亮司」の仕草を次々に再現していく。


「先生、どうぞ」

相田が沢山のデスクに、珈琲をコトリ置き、結城の向かいに座る。

紗世が相田と結城に、「どうぞ」と珈琲を置いて、自らもソファーに座る。

珈琲カップを手に取り珈琲を啜る結城の仕草は、連載中の小説に登場するヒロインの彼「亮司」そのものだ。


「結城?」

相田の目が驚きに見開かれ、沢山が「凄いわ」と満面の笑みを浮かべている。
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