空と君との間には
「結城くん、本当に凄いわ。冴子も亮司も仕草がそっくりよ~」


「光栄です」

結城は言うと、スッと立ち上がり沢山の側に寄る。


「では先生、こんなのはどうです?」

沢山の座っている椅子をくるり、回転させる。


「結城さん!?」

紗世はゴクリ喉を鳴らす。
相田も結城から目を離せない。

結城の細く長い指が沢山の頬にそっと触れ、滑るように沢山の顎をクイッと上げる。


「冴子……」

前回連載のラスト、亮司が冴子に接吻する緊迫した場面だ。

結城が沢山の頬に顔を近づける。

紗世と相田の胸の鼓動が、半端ないほど脈打っている。

紗世は緊張に耐えきれず、目を閉じる。


「あ……」

結城の唇が沢山の唇に触れる寸前、沢山の手が遮る。

椅子を回転させパソコンの正面に向かい、猛然とキーを叩き始める。
< 25 / 312 >

この作品をシェア

pagetop