冷たい彼-初恋が終わるとき-



不機嫌になった桐生君にまたずけずけ何かを言われるのかと不安になっていると、何故か頬に指を滑らせてきた。



「き、桐生君?」

「…なあ」

「な、何ですか?」



急に声のトーンが変わった桐生君に畏まってしまう。


真剣な眼差しで見つめられて、声が震える。



「…これ、また作ってくれるか?」



"俺のために"


そう小さく呟いた桐生君に、おどおどしていた私は息を呑む。


そして背筋をピシッと正して何度も力強く頷いた。こんなにも真っ直ぐ桐生君を見たのは初めてかもしれない。でも桐生君がこう言う事を言ってくれるのも初めてで、私は興奮していた。



「うんっ!作る!作るよ、桐生君のために!」



前のめりになる私に一瞬驚いた表情を見せた桐生君。


しかし次の瞬間には、珍しく自然な笑顔で頭を撫でられ、私の顔が火照りを発症する。



「…サンキュ」



ほんのりドキドキしたのは、きっと桐生君が眩しすぎるイケメンさんだからだと思う。


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