冷たい彼-初恋が終わるとき-




溜め息を付いた瞬間、ハッと我に返る。


ーーガヤガヤ


机に預けていた体を起こすと既にホームルームは終わりを告げていた。




「花霞ちゃんばいばーい!」

「あ、ばいはい」

「椎名さんまた明日ー」

「うん、またね」




帰って行く星絆ちゃん達を座ったまま見届ける。


部活に行く生徒や、そそくさ帰る生徒。


私はいつも通り、桐生君を待っている生徒。


人気が薄れて行く教室で、暇潰しに本でも読もうと、愛読書を取り出そうとしたとき。




「ねぇ椎名さん」




声をかけられて思わずビクンと肩を揺らす。




「今、ちょっといい?」




聞き覚えのある声に怖ず怖ずと見上げれば、落合君がいた。




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