冷たい彼-初恋が終わるとき-




「乙樹と日莉の傍にいる事が辛くて大分前から蓮は僕達と距離を置いているんだよ。でも最近は少しだけ、昔に戻ったように感じる」

「…仲、あまり良くないの?」

「さあ、どうだろ。蓮は何だかんだ言いつつも僕の家によく来るから。でも乙樹と日莉には、自分から近寄らなくなったかな。僕の家にいるときも乙樹と日莉が来くると、すぐに帰るし」

「…それは…寂しい、ね」

「うん。気持ちは分からなくないけどね」




逃げる桐生君をきっと落合君は引き止めないんだろう。


人をよく見てる人だと思った。




「蓮にも早く吹っ切ってもらわないと困る。僕は、あんな目をしてる蓮が気持ち悪すぎて見てられない」

「…き、気持ち悪いって」

「本当に気持ち悪いんだよ。まるで蓮じゃなくて、得体の知れない何かを見ているみたいで身の毛が弥立つ」




ゾワゾワしたのか腕を擦る落合君は少し失礼な人だ。


気持ち悪いと言いつつも、裏を返せば、悲しそうな桐生君を見たくないって事。



< 142 / 201 >

この作品をシェア

pagetop