冷たい彼-初恋が終わるとき-
声を上げて泣く私に少し困った様子の落合君は、とりあえずと言った感じで頭を撫でてきた。
何てシュールな絵。
幸い裏庭には誰もいない。
ーーはずだった。
「おい、何やってんだよテメエ」
裏庭に声が響く。背筋が冷たくなるほど低い声。足音がカウトダウンだと錯覚し、ゾクリとする。
熱い目頭を拭ってそちらに目をやれば、桐生君が私達に向かって歩いてきているところだった。
静かに怒る桐生君を見るのは初めてだ。落合君を睨む瞳は鋭い。凍えるような鋭利な輝きを目の当たりにして、ドキリとした。