冷たい彼-初恋が終わるとき-
のた打ち回る醜悪な感情に乗っ取られないよう堪え忍んで桐生君に言う。
「…私に、関わらないで…」
あんな姿を見られたのに平然と出来るわけがない。
「…授業出たほうがいいよ?」
「…さっきまで泣いてたやつが偉そうに何言ってんだよ」
「…っ」
唇を噛み締めて俯けば桐生君がハッと嘲笑う。
「…本当に関わって欲しくねえならお前が消えろ。白けた面見せやがって。慰めて下さいって言ってるもんだろうが」
「…私はただ…っ」
そんなつもりじゃなかった。だけどこの情けない顔は桐生君を引き止めていたらしい。でもなかなか引き締まらない顔に、唇を噛み締める。