冷たい彼-初恋が終わるとき-
早くここから立ち去ろう。重い腰を上げて屋上から逃げようと思った。何だか泣いてしまいそう。桐生君も私を軽蔑しているんだろうか。怖くて目を合わせないまま俯いていれば、手首を掴まれて中腰のまま止まる。
「…なあ、お前」
「…」
ふとした桐生君の呼び掛けに、顔を伏せたまま耳を傾ける。
「…乙樹の事、好きだったのか?」
「…っ!」
ぱちんと弾かれたように桐生君を見れば、桐生君は何とも言えない顔をしていた。