冷たい彼-初恋が終わるとき-




「…違うか?」

「…そうだよ」




ああ、やっぱりさっきの聞こえてたんだ。


私が小田切君を好きだったと泣き喚いていたのを。




「…へえ。乙樹を、な」




どこか憂いを見せるその目。


勘違いかもしれないけど、桐生君は私を通して誰かを見ているようだった。




「…どこが良いんだよ、あんなやつ」




自嘲するうにけらけら笑みを浮かべる桐生君に目をぱちぱちさせる。そんな笑みは桐生君には似合わないと思った。




「…あの顔か?それとも性格か?
女ってああいうのが好きだよな」




可愛らしい顔立ちと誰にでも優しい穏和な内面。私はあの愛嬌のある笑顔を一目見て胸を打ち抜けれてしまった。まるで童話からでてきた白馬の王子様みたいな小田切君。そんな彼を語る桐生君は、彼をよく知る口振りだった。彼と話してる姿なんて見たこと、ないのに。



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