冷たい彼-初恋が終わるとき-




「…忘れられたら苦労しないよ」




諦めたように目を伏せる。


桐生君は頬から、震える唇をソッとなぞった。




「…なら、俺が忘れさせてやるよ」




その指先が、私を揺らがせる。




「え?」





いきなりそんなことを言う桐生君にポカンとした。


しかし桐生君は薄く笑うだけで初めは冗談なのかと思った。だけどその目は全く笑っていなくて本気なんだと、ゾクッとした。


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