冷たい彼-初恋が終わるとき-
「…ありがとう」
「いえいえ!ゆっくり休まないとダメだよー?お昼食べれそうなら一緒に食べようね!」
肩をぐいぐいと押して保健室に繋がる階段に連れて行かれた。
踊り場付近で「じゃあまた後でー!」と走っていく星絆ちゃんの背中をぼんやり見届ける。でも彼女の少し前には、小田切君の姿が。
彼の横を通りすぎるとき彼女は軽やかに手を振った。
「会長ー!こんにちはー!」
「あ、こんにちは」
「セナねー、今から生物なんだけどぉー、乙樹君のために頑張っちゃおーっと!」
「ハハッ!俺なんかのために頑張るの?」
「そうだよぉー!応援してくれる?」
「うん、頑張って」
生徒会長の小田切君は誰とでも隔てなく接する。星絆ちゃんの冗談っぽさを含んだ甘い言葉にも、ちゃんと優しく返している。私もあれだけ気軽に話せれば楽だったのに。星絆ちゃんが羨ましい。彼の目に私が映ることは、ない。