ボーダー・ライン
それでも何とか僕は、仕事を人並みにこなしていた。
もちろん平常心でなんていられていない、身の回りの人が次々と死に向かっていくんだ。
目は涙でぐしょぐしょ、揺れる視界だし、手には嫌な汗をかき、小刻みに震えている。
気が気ではない。
だけどそんな状況の僕にでも出来てしまう位、仕事は簡単で、実につまらない内容だった。
とりあえず僕の仕事、目の前にじゃらじゃらと、ネジ部品が機械から吐き出される。
するとそれらが次々にコンベアで流れてくるので、僕は一つ一つ手作業でその良品と不良品を選別する。
もちろんモノによっては専用の検査機械に通す部品だってある。
目に見えない傷や部品内の気泡が、機械の致命的な欠陥につながることもあるからだ。
だがそれだって、あらかじめ設定した機械に被検部品をつっこみ、ボタンを押せば勝手に検査、判断をしてくれる。
薬液にひたし、測定し、判断する。
下手な理科系学部卒の人間以上のはたらきを、機械は文句ひとつ言わず、黙々とこなすのである。
こうやって作られた部品を箱詰めして出荷したり、また別のラインで一つのパーツに組み上げるのだ。
ラインではひたすら同じ場所のネジを締めたり、図面通りに組み立てたり、同じことをずっとずっと繰り返す。
工程ひとつひとつに人が付き、流れてくる単調な仕事を延々と、繰り返すのだ。
これが現実なんだ。
工場の業務というのは、「誰でもマニュアルを読めばできる」「誰がやっても同じ性能となる」これを目標に、高度に簡素化されているのである。
二流とは言え、大学を卒業した僕は現在こういった誰にでも出来る仕事をやっている。
延々と、永遠に。
そりゃあ仕事は楽だよ。楽に設計された仕事が辛いはずがない。
だけど……無駄だよな、いろいろと。
だってもったいないだろう?
それに、つまらない。