夜人【ヨルヒト】さん
煙草の箱を握り潰し、ユキオミが最後の一本を咥える。

カチンと音がしてオレンジの炎が灯り、消えた。

深いため息に合わせて煙が立ち昇る。

「多分、だけどさ」

煙草を口から指先へ移し、ユキオミが言いにくそうに顔をしかめる。

「このままじゃ……トキコちゃん、どこまでも追いかけられるよ」

「!」

びくっと肩が震えた。

「話してくれないから事情分からないけど……

旧校舎で言ってた、死体って……家にいたアレのこと?」

「…………」
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