夜人【ヨルヒト】さん
ゆらり、とエミカが立ち上がった。

不自然に身体を揺らしながら、チサエの方に向き直る。

冥い目が、何の感情もなくチサエを見つめる。

底無し沼を覗くようなその冥さがもたらす恐怖に、チサエは気を失いそうになった。

薄れる意識を、身体がひきずられる感触が呼び戻す。

プールの水面が立てる水音が、すぐ後ろに迫っていた。

「エ、エミカ! 助けて……今までのこと全部謝るから! 何でもするから!」

「…………」

アザのついた首を傾げ、エミカがゆっくりと唇を動かす。

「何 で も ?」
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