Dream。~君と私の応援歌~


私は湊くんを優しく抱き締めた。


「カッコ悪くなんてないよ。諦めない湊くん、すごくカッコいい。野球、絶対できるようになるよ」


分かってる。そんな無責任な言葉が、どれだけ湊くんを傷つけるのかくらい。


野球がやっぱりできない。

そう知ったとき、湊くんがどれだけ傷つくか。


でもこのくらいしか、私は湊くんを励ますことができないから――。


耳元で湊くんの嗚咽が聞こえる。


その嗚咽が私には、「ごめん」って聞こえたんだ。


ずっと隠してきたんだね。

辛くても人前で泣かずに、心の隅で泣いてたんだ。


たった一人で。



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