ご近所さん的恋事情
瑠璃子もバッグの中からスマホを出す。


「じゃ、よろしくお願いします」

「こちらこそ」


連絡先交換はあっさり終了。


「おやすみ」

「うん、おやすみ」


一人暮らしだとおやすみの挨拶をすることがほとんどない。久しぶりの「おやすみ」に瑠璃子は、「気持ち良く寝れそう」と軽い足取りでマンションに入っていった。

瑠璃子が入ったのを確認して、渉は歩き出す。


「ただいま」

「お兄ちゃん、お帰り!」


リビングで寛ぐ妹の葵が笑顔で出迎えてくれた。

出迎えてくれる家族がいることは嬉しい。渉は意外に寂しがり屋なので1人暮らしは自分に向いていないと思っている。


「なんかお兄ちゃん、機嫌良さそうだけど、何かあった?」

「あはは。さすが葵だね。何があったかは内緒だよ」

「えー。気になるー」

「あはは。でも、教えない」


渉は笑いながら、自分の部屋へと消えた。

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